新稲法子氏「詩入都々逸研究のために」(『混沌』41号、2018年4月)が、本プロジェクトの成果として発表されています。
詩入都々逸(しいりどどいつ)は、都々逸(江戸末期から明治期にかけて流行した七・七・七・五調の俗謡)のアンコ(中に挟む文句)に漢詩を用いたものです(通常、七・七を歌い、その後に漢詩を朗誦し、最後に七・五を歌う)。
新稲論文は、大阪大学忍頂寺文庫の詩入都々逸本を紹介しています(大阪大学忍頂寺文庫目録、同画像一覧、『五色染詩入紋句』〈新日本古典籍総合データベースによる〉などが詩入都々逸の例)。その上で、詩入都々逸に利用される漢詩の多くが『唐詩選』や『和漢朗詠集』所収の作であるなかで、日本人の漢詩をアンコに用いた例があることを指摘し、その背景について論じています。具体例を挙げるならば、柏木如亭「吉原詞」や亀井少琴の詩をアンコとするケースがあるとのことです(『みやこ大流行雑詩よしこのぶし』、『雑詩よしこの集』などに所収)。
こうした詩入都々逸は、どのような詩が日本人に親しまれるようになったか(漢詩の古典化)に、大きな影響を与えていると新稲氏は論じています。
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