2018年6月4日月曜日

韓国の漢文学研究者との対話(成均館大学校・東アジア漢文学研究所)

  ご報告が遅くなってしまいましたが、3月30日、韓国の成均館大学校・東アジア漢文学研究所において、日本漢文学プロジェクトの意図、成果、展望などについて説明する機会をいただきました(「国際化する日本漢詩研究―現状と展望―」報告者:合山林太郎)。
 このような貴重な場をお与えくださった研究所長の金榮鎭(キム・ヨンジン、김영진)教授、通訳いただいた金東建(キム・ドンゴン、김동건)教授をはじめ、成均館大学の先生方、学生・スタッフの皆様にあらためて感謝申し上げます。
 本プロジェクトでは、漢詩詞華集(総集)が文化に与えた影響について、集中的に考察しましたが、詞華集の問題については、『華東唱酬集』(華が中国、東が韓半島を指す、→近年の関係論文はこちら)に関するものをはじめ、韓国でも、様々な論考が発表されているとのことでした。
 また、今回の報告では、大町桂月『和漢名詩詳解』(早稲田大学出版部、1921)に、高麗の学者で日本も訪れた鄭圃隠の詩が掲載されていることなどについて言及いたしましたが、多くのご教示をいただきました。
 韓国の漢文学研究の世界では、精緻な実証主義研究が交流するとともに、大きな枠組みや構図(Frame, Big Picture)のレベルでのダイナミックな議論がなされ、近年も活発な論戦が行われていることを教えていただきました。日本においても、近年では『日本「文」学史』などの大きな観点からの文学・文化の再検討がなされていますが、一般的に、日本の、とくに前近代の文学領域の研究では、あまり採られないアプローチだと思います(これは、韓国と日本とでは、人文学研究と、社会・文化との関係が異なっていることなども影響しているかと思います)。韓国の漢文学の研究の歴史を知ることは、多くのヒントをもたらすように思われます。


※すでにプロジェクト実施期間は終了しておりますが(2017年9月まで)、関係する成果などについて引き続き報告してまいります。

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