2017年10月26日木曜日

和漢比較文学会大会において発表いたしました(10/1)

 第36回(2017年度)和漢比較文学大会(大手前大学、2018年9月30日、10月1日)において、本共同研究の一部である日本漢詩における名詩の形成についての調査の成果として、「正岡子規が読んだ江戸漢詩詞華集―『才子必誦 崑山片玉』・『日本名家詩選』―」(合山林太郎)を発表いたしました。正岡子規の手になるとされる『随録詩集 第一編』(法政大学図書館蔵 →同大学正岡子規文庫デジタルアーカイブ)の収録詩の一部が、村尾元矩編『才子必誦 崑山片玉』(明治八年〈一八七五〉刊 →国会デジタルコレクション)及び首藤水晶『日本名家詩選』(安永四年〈1775〉刊 →早稲田・古典籍総合データベース)から抄出されたものであることを明らかにしたものです。
 『才子必誦 崑山片玉』『日本名家詩選』は、いずれも必ずしも格が高いとは言えない漢詩詞華集であり(いずれも書型は中本。発表後「今でも古書店でよく見るような本ということですね」というコメントをいただきましたが、その通りです)、これまでの日本漢詩文研究で注目されてはいませんでした。しかし、こうした片々たる詞華集が日本漢詩の名詩形成に大きな影響を与えていたことが推定される、ということが今回明らかになったと考えています。
 なお、会場でご指摘いただいた、『随録詩集』とはどのような性格のノートか、といった問題や、今回の指摘が子規研究にどのような意味があるかという点は、今後、検討すべき余地があると思います。多くの方からご質問、ご意見を賜りました。心より御礼申し上げます。

0 件のコメント:

コメントを投稿