2016年6月20日月曜日

パネル「日本漢文学研究を“つなぐ”―通史的な分析・国際発信・社会連携―」の要旨を掲載します

以下のページに、登壇者をはじめ、全情報が掲示されています。
http://www.nijl.ac.jp/pages/cijproject/sympo20160729.html

「日本漢文学研究を“つなぐ”―通史的な分析・国際発信・社会連携―」
"Globalizing Japanese Kanshibun Studies:Interdisciplinary Approaches"

要旨
 日本漢詩文(日本人が作った漢詩や漢文)は、今日、様々な文芸ジャンルの中でも、とくに大きな研究発展の可能性を持つ領域として注目を集めている。しかし、そこには、いくつかの乗りこえられるべき課題もある。そして、それは、以下に述べるように、"つなぐ"ことによって解決すべき問題として理解し得るように思われる。 まず、日本文学領域において、古代・中世・近世・近代など、時代ごとに行われている研究を "つなぐ"必要がある。すなわち、それぞれの時代において異なる問題意識を共有し、作品へのアプローチや学術用語についても、相互参照可能なかたちへ改めてゆくべきであろう。日本漢詩文の全体像に関して生産的な検討を行うためにも、こうした作業は必要不可欠のものと言える。
 次に、研究の成果を社会と"つなぐ"ことも、積極的に考えるべきテーマと言える。学習指導要領の改正などにより、現在、日本人が作った漢詩や漢文が、高等学校の国語教科書に収録されるようになってきている。最新の研究の成果を踏まえつつ、どういった作品が教科書に収録されるべきか、あるいは、研究と教育とをどのように連携させるかといったことについて、具体的な議論を行うべきである。
 最後に、海外における日本漢文学の研究と、日本における研究とをどのように "つなぐ "かについても考えなければならない。日本漢詩文への関心は、近年、世界の様々な地域で高まっているが、それぞれの文化圏において、異なる視点から分析がなされている。こうした動向と日本国内での研究の蓄積とを接続し、立体的・多面的な認識を形成することが求められている。
 このパネルでは、本共同研究においてこれまで行ってきた試みと成果を報告する。また、英語圏及びフランス語圏における日本漢文学研究の現状について紹介する。その上で、時代ごとに細分化した日本漢詩文研究を通史的に記述するために、どのような工夫が必要か、さらに、研究を国際的に発信し、また社会において役立てるために、どのようなモデルを考え得るかについて討論してゆく。

Abstract
        Various fields are paying increasing attention to the study of Japanese Kanshibun (Literary Sinitic or Classical Chinese Prose and Poetry written by Japanese). This panel aims to accelerate this trend by focusing on the following three points.
  1. Japanese Kanshibun studies have recently been flourishing not only in Japan but also in other countries. However, there still exists a wall between the worlds of domestic and foreign researchers. This panel attempts to promote productive information exchange between researchers from different academic backgrounds by introducing the latest trends in Japanese Kanshibun studies in English-speaking and French-speaking nations.
  2. Most researchers of Japanese Kanshibun specialize in an individual historical period and the approaches to gain an overall picture of Japanese Kanshibun are rarely adopted in the field of Japanese Literature Studies. This panel will therefore also seek a way for researchers to share their views with other researchers specializing in different periods.
  3. Works of Japanese Kanshibun are recently being gradually adopted into Japanese textbooks for high school students. An effective way to reflect the latest knowledge of this field in education will also be discussed in this panel.

2016年6月13日月曜日

ワークショップ「『ケンブリッジ日本文学史』を読む」を開催します 7/28(木)18:30~

以下のような催しを行います(国文学研究資料館の研究集会の前日です)。
多くの方のご来場をお待ちいたしております。

歴史的典籍NW事業 ワークショップ
『ケンブリッジ日本文学史』を読む―漢文学関連の章を中心に―
Workshop
Analyzing “The Cambridge History of Japanese Literature”: Focusing on the Chapters of Sinitic Literature Written by Japanese
2016年7月28日(木) 18:30~20:00
慶應義塾大学 三田キャンパス 東館4階 セミナー室
ゲスト マシュー・フレーリ氏(Prof. Matthew Fraleigh)

英語圏でひろく読まれているケンブリッジ・ヒストリーのシリーズにおいて、昨年、「日本文学」の巻が刊行されました。このワークショップでは、本書の執筆者の一人をお招きし、異なる文化圏において、日本文学がどのように語られているのか、あるいは語り得るのかについて考えてゆきます。なお、議論は、日本漢詩文に関係する章を中心に行います。
The Cambridge History of Japanese Literature (Cambridge Histories Online)のページ

使用言語:日本語(テキストは英語です)

主催:日本漢文学プロジェクト 共同研究チーム
共催:国文学研究資料館
連絡先: 合山林太郎研究室(goyama@flet.keio.ac.jp

 

2016年6月12日日曜日

パネル「日本漢文学研究を“つなぐ”―通史的な分析・国際発信・社会連携―」7/30(土)

以下の研究集会において、パネル報告を行います。

第2回 日本語の歴史的典籍国際研究集会
日本古典籍への挑戦―知の創造に向けて―」
2016年7月29日(金)・30日(土)
国文学研究資料館大会議室
国文学研究資料館・研究集会のページ

7月30日(土)12:10~13:40
パネル2「日本漢文学研究を“つなぐ”―通史的な分析・国際発信・社会連携―」
Globalizing Japanese Kanshibun Studies:Interdisciplinary Approaches

概要説明
合山林太郎(慶應義塾大学文学部准教授)
GOYAMA Rintaro(Keio University)
報告1
滝川幸司(京都女子大学文学部教授)
TAKIGAWA Koji(Kyoto Women's University)
報告2
中本大(立命館大学文学部教授)
NAKAMOTO Dai(Ritsumeikan University)
報告3
福島理子(帝塚山学院大学リベラルアーツ学科教授)
FUKUSHIMA Riko(Tezukayama Gakuin University)
報告4
ジュリアン・フォーリ(高等研究実習学院博士課程)
Julien FAURY(EPHE)
報告5
マシュー・フレーリ(ブランダイス大学准教授)
Matthew FRALEIGH(Brandeis University)

5名の報告の後、フロアをまじえてのディスカッションを予定しております。多くの方と議論できますことを楽しみにいたしております。追って趣旨説明などを掲示いたします。